文化の芽
僕たちではなく、お客様が作ってきた「小屋の個性」
この小屋で演劇を作りはじめて、ちょうどまる3年がたちました。3年で本公演を3回、その他プロデュース公演などを含めると、計5回。チケット予約をされているお客さまの名前を見れば、「顔は分からないけれど、あー常連のお客さまだな」とか、逆に、終演後にお客さまの顔を見て、「名前は分からないけれど、常連のお客さまだな」とか、だんだんとわかってくるわけですね。

3年もやっていれば、独身だったお客さまがもう結婚なさってたり、小学生が中学生になっていたり、すでに広島を離れていらっしゃったり。少し歴史というんですか、時代の変化も垣間見えてくるわけです。まあ、年に1、2度、盆暮れに、おばあちゃんの家に帰るみたいなもんで、なんだかお客さんの表情に、「またここに来たな」といった感じの表情も見てとれます。そんな中から、この小屋の特色というか、僕たちではなく、お客さまが作ってきた「小屋の個性」というものが、少し出てきたな、とい
うことを今回、僕はすごく感じているんですね。

お客様と一緒にこの小屋の文化を作っている
お客さま一人一人には実感がないことだと思うのですが、実はこの小屋は、アンケート回収率がものすごい高い小屋なんです。憶測でしかないですが、全国的に見ても、これはおそらく相当数なものなんじゃないかと思います。少なくとも東京に比べると歴然としていますね。東京なんて、10~20%なんてもんなんじゃないか、という気がします。それにくらべてブンメシ公演の回収率は、平均80%以上はあるんじゃないか、というほどです。これはおそらくすごい数字だと思うんですね。昨年、まったく質の違う青年団の若手演出家の作品を上演しても、この高数字はあまり変わりませんでした。同作品を東京で上演したときは、やっぱり10%代だった気がします。たとえおもしろくなくても、とりあえず書いてもらえるんです。もちろん気軽に書けるように、僕たちもデザインを工夫していたりするわけですが、にしてもこれは、たぶんお客さまが作ってる質なんです。
空気なんです。なんか書いてしまう。自然に書く空気ができている。小学生からおじちゃんおばちゃんまで、ひとつの作品を通じて、いろんな感じ方をして、終演後の余韻と、薄暗い照明の中で、紙に記してるんです。その様は、僕としては、この上ない感動で、山小屋の誇りだと思います。お客さまと一緒にこの小屋の文化を作っている、という疑いのない証だと思います。アンケートの束は、札束より重い、実感のある紙束です。

今僕は、何気に「文化」と書きましたが、何にもなかった場所から、次第に文化が産まれてきたんだよ、ってことを僕は今日、書き記したいわけです。それを町のみんなと、お客さん、マスコミ含めてみんなで一緒に作ってきて、それがようやくひとつの形になってきたんじゃないか、ってことが書きたいわけです。
この文化の芽は大事にしていきたいと思います。
(引用:公式ブログ「ブンメ士たちの日記」2007.02.28より。河村記。)
山小屋シアターって何だろう? What is yamagoya-theater ?
山小屋シアターは、広島市西区横川にあります、私たちブンメシの活動拠点です。
3階建てビルの3階。ちなみに、1階は洋品店と甘味処、2階はレストランとなっています。
この山小屋シアターがあるビルは、「アンゴラビル」といいまして、偶然にも、劇団青年団さんの活動拠点である「こまばアゴラ劇場」にとても近い名前なのです。由来は、このビルのオーナーさんが営んでおります洋品店、そのオーナーさんのお父さんがアンゴラウサギの毛を売って建てたビル、とのこと。
山小屋シアターは元々ギャラリーであり、ギャラリーとなる前は洋品店の倉庫でありました。オーナーさんが若いアーティストに場を提供しようということでギャラリーに改築され、そのうち私たちがやってきて公演をうったのです。それをきっかけに運営を一任頂きました。そして、2005年夏、ギャラリーを更に改築、現在のような劇場空間となったのです。


